2017年4月3日月曜日
アルベカシン吸入薬(ME1100)・J Antimicrob Chemother(original article)
Kaku N, Morinaga Y, et al. Efficacy and pharmacokinetics of ME1100, a novel optimized formulation for inhalation, compared with amikacin in a murine model of ventilator-associated pneumonia caused by Pseudomonas aeruginosa. J Antimicrob Chemother. 72 (4): 1123-1128, 2017.
当教室の賀来 敬仁 助教のアルベカシン吸入薬(ME1100)の緑膿菌人工呼吸器関連肺炎(VAP)マウスモデルにおける効果についての論文が、英国抗微生物化学療法学会(British Society for Antimicrobial Chemotherapy)の機関紙であるJournal of Antimicrobial Chemotherapy誌に掲載されました(2017年4月付)。
抗菌薬の吸入療法は、緑膿菌による慢性気道感染症での有効性が認められていますが、近年肺炎などの急性期呼吸器感染症での使用を目的とした薬剤の開発が行われていて、アミカシンの吸入薬は第III相臨床試験が行われています。本研究では、当教室で以前から研究しているVAPマウスモデルを用いて、専用噴霧器を用いたアルベカシンの吸入薬(ME1100)の吸入療法が有効であるか検討しました。その結果、ME1100は緑膿菌によるVAPにおいて、単剤で有効性を示しました。また、同じアミノグリコシド系抗菌薬であるアミカシンとの比較を行ったところ、同じ用量ではME1100のほうが優れた効果を示しました。アルベカシンはVAPの主要な原因菌であるMRSAと緑膿菌のどちらにも抗菌活性を示すことから、VAPのempirical therapyなどで効果が期待されます。
当教室では、医師および臨床検査技師の大学院生が、栁原教授、小佐井助教、賀来助教の指導のもと、感染症マウスモデルを用いた抗菌薬の研究を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください。
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