このブログを検索

ラベル 論文 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 論文 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年12月7日木曜日

一般社団法人長崎県臨床検査技師会 創立70周年・法人化35周年事業

 9月30日(土)に一般社団法人長崎県臨床検査技師会 創立70周年・法人化35周年記念講演会・記念式典・祝賀会が諫早市にて開催され、記念講演では当検査部の栁原部長が講演されました。

また、式典において南 元臨床検査技師長が功労賞を、川元 主任技師、村田 主任技師、山川 主任技師の3名が学術奨励賞を受賞いたしました。

今後も研究や技師会活動を積極的に行っていきたいと思います。




2023年10月12日木曜日

Top Peer Reviewer for Microbiology Spectrumに選出!

 American Society of Microbiology のTop Peer Reviewer for Microbiology Spectrumに

当検査部助教の太田 賢治先生が選出されました!


太田先生は当検査部の新型コロナウイルス感染症検査体制の構築・維持において中心的

役割を担っておりました。また、「新型コロナウイルスの検査・診断法」や「好気性菌と嫌気性菌の混合感染の病態解明」など数多くの研究も手掛けています。

今後ますますの活躍が期待されます!



2018年9月10日月曜日

腸内細菌科細菌におけるplasmid媒介性AmpC・Jpn J Infect Dis


Nishimura F, Morinaga Y, et al. Plasmid-mediated AmpC β-lacatamase and underestimation of extended-spectrum β-lactamase in cefepime-susceptible elevated-ceftazidime-MIC Enterobacteriaceae isolates. Jpn J Infect DIs. 71 (4): 281-5, 2018.


 当教室の大学院生(2018年〜月学位取得)であった生化学検査室の西村主任の〜についての論文が国立感染症研究所が発行する英文誌Japanese Journal of Infectious DIseases (JJID)に原著論文として掲載されました(2018年6月24日付)。


基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamaseESBL)やプラスミド媒介性AmpC β-lactamase (plasmid-mediated AmpC β-lactamasepAmpC)を保有する腸内細菌科細菌が、世界的に広がっています。pAmpCの存在、特にESBLと同時に保有している際に薬剤耐性菌の同定を複雑にしており、pAmpCESBL表現型の検出を干渉する可能性があります。そこで、本研究ではESBL産生菌の可能性があるセフタジジムの最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentrationMIC)pAmpCが加水分解できないセフェピムのMICに着目し、ESBL単独、pAmpC単独、ESBLpAmpCを保有する可能性のある株およびESBL表現型の検出に与えるpAmpCの影響を調査しました。その結果セフェピム感性セフタジジムMIC上昇の株におけるpAmpC保有率は27.5%と高率で、この集団でpAmpC保有株を効率的に検出できたと推測されます。また、pAmpC保有株ではESBL遺伝子を保有しているにも関わらず、表現型ではESBLと判定されていない株が有意に多く認められました。これらのことから、pAmpCがESBL表現型の判定に影響を与えている可能性が示唆されました。

 当教室では、栁原 教授森永 講師賀来 助教の指導のもと、微生物の分子疫学的解析をを行っています。臨床検査技師の大学院生も多く所属し、研究を行っています。また、研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2018年9月4日火曜日

AccraseedによるTSH、FT4およびFT3の測定・医学検査

臼井 哲也、南 惣一郎、賀来 敬仁、栁原 克紀. 新規免疫自動分析装置AccraseedによるTSH、FT4およびFT3測定試薬の基礎的検討. 医学検査. 67 (4): 443-50, 2018.


 当検査部の生化学検査室所属の臼井主任の新規免疫自動分析装置によるTSH、FT4、FT3測定試薬の基礎的検討が、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会の機関紙である医学検査に技術論文として掲載されました(2018年7月付)。

 患者への速やかな治療の開始などの観点から診療前検査が普及しています。今回、検体の採取から結果報告までの迅速化の可能性を検討するために、測定時間が10分という自動化学発光酵素免疫分析装置Accuraseedを用いてTSHFT4FT3の基礎的検討を行いました。また本装置とルーチン法のモジュラーおよびARCHITECT、ルミパルスの3機種の装置を用いて迅速性に関する比較検討を行ったので報告する。甲状腺3項目の基礎的検討として、再現性(同時、日差)、相関性、最少検出感度、直線性、共存物質の影響について検討を行った。その結果、ルーチン法との相関性において回帰式傾き(本法が低め傾向)および乖離検体(1例)が認められたが、それ以外の同時再現性、最少検出感度等他の検討の全てにおいて、良好な結果が得られた。なおFT3において発生した乖離検体1例についてはPEG処理による測定値挙動から異好性抗体の影響を本法が受けている可能性が考えられた。また迅速性の検討において、結果報告時間は、本装置では15分で、モジュラー、ARCHITECTおよびルミパルスは各々27分、33分、37分となり、本装置を用いることでTATの短縮化の可能性が示唆された。

 当検査部では、基礎研究だけでなく、検査に関連した臨床研究も積極的に行っています。
 これまでに紹介した論文は→リンク

2018年8月30日木曜日

高感度インフルエンザ抗原迅速検査システムの有用性・感染症学雑誌


岩永 祐季、小佐井 康介, et al. 高感度インフルエンザ抗原迅速検査システムの有用性. 感染症学雑誌. 91 (5): 747-51, 2017.


 昨年になりますが、当時微生物検査室所属(現在は生化学検査室)の岩永 祐季 技師の高感度インフルエンザ抗原迅速検査システムについての検討が一般社団法人日本感染症学会の機関紙である感染症学雑誌に原著論文として掲載されました(2017年9月付)。

本検討では銀増幅によりインフルエンザウイルス検出感度を高めたイムノクロマト法(銀増幅IC法)の有用性を検討しました。イムノクロマト法を原理とする従来法と比較したところ、両検査法の一致率は94.1%でした。インフルエンザウイルス陽性率は銀増幅IC15.8%、従来法10.8%でした。本検討では従来法の結果のみを臨床に返送しましたが、銀増幅IC法が陽性の症例のうち、ノイラミニダーゼ阻害薬が投与されたのは従来法が陰性の場合には9.1%、陽性の場合には90.5%と後者で有意に高い結果でした。また、抗菌薬が投与された割合は、従来法が陰性の場合45.5%、陽性の場合には19.0%と後者で低い傾向でした。院内感染対策では銀増幅IC法が陽性であったにもかかわらず、従来法が陰性であったためにノイラミニダーゼ阻害薬が投与されないまま入院もしくは入院継続となった症例がありました。
 本検討では、銀増幅IC法により高感度にインフルエンザウイルスを検出することは、適切なノイラミニダーゼ阻害薬の投与や不要な抗菌薬投与の抑制、および適切な感染制御の実施に貢献できる可能性が示唆されました。

 当教室では、栁原 教授森永 講師賀来 助教の指導のもと、微生物検査についての基礎検討および臨床研究を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2018年8月28日火曜日

パンヌスが原因であった大動脈弁位人工弁機能不全の2症例・超音波検査技術




古島 早苗、尾長谷 喜久子, et al. パンヌスが原因であった大動脈弁位人工弁機能不全の2症例. 超音波検査技術. 43 (3): 274-80, 2018.


 当検査部の生理機能検査室所属の古島 早苗 技師の人工弁機能不全症についての症例報告が一般社団法人日本超音波検査学会の機関紙である超音波検査技術に症例報告として掲載されました(2018年6月付け)。

人工弁置換術後症例では,異物である人工弁が体内にあることによって種々の反応が起こります。今回の症例であるパンヌスもその一つです。パンヌスとは人工弁の周辺から発育する線維性の自己組織のことで、過剰増殖が起こると人工弁の開閉障害や,弁直下に張り出すことによって狭窄を引き起こすことがあります。しかし人工弁置換術後の心エコー図検査では、アーチファクトにより弁周囲の描出が困難である症例が非常に多く存在します。本論文の2症例はどちらも術前にパンヌスを疑うようなエコー像は描出できませんでしたが、種々のドプラ心エコー図所見からパンヌスを強く疑ったことで、精査、手術をするに至った症例です。ドプラ所見の急激な変化や経年的増悪があれば、人工弁機能不全を疑うことが重要であると考えられました。

 古島技師は先日も記事にしたように学会賞も受賞しています(リンク)ので、今後も活躍してくれると思います。

 当検査部では、基礎研究だけでなく他科とも協力して様々な臨床研究を行っています。
 これまでに紹介した論文は→リンク


2018年8月23日木曜日

C.difficileのフィダキソマイシンへの感受性・J Infect Chemother


Yanagihara K, Akamatsu N, et al. Susceptibility of Clostrdium species isolated in Japan to fidaxomicin and its major metabolite OP-01118. J Infect Chemother. 24 (6) 492-5, 2018.




 栁原 克紀 教授C. difficileに対する新薬であるフィダキソマイシンについての論文が日本感染症学会・日本化学療法学会の英文誌であるJournal of Infection and Chemotherapy誌に掲載されました(2018年6月付)。

 本研究で検討したフィダキソマイシンは、経口投与してもほとんど吸収されずに高い糞便中濃度を維持できる新規抗菌薬です。スペクトラムは非常に狭く、腸内細菌叢への影響が少ない抗菌薬と報告されています。臨床研究でも、再発性C. difficile感染症に対する有効性がバンコマイシンよりも高いことが示された薬剤です。日本でも2018年7月に製造販売が承認されました(2018年8月時点で薬価は未収載)。
 本研究では、2012年から2015年に当検査部で検出されたC. difficile 50株と48株のClostridium spp.を使用してin vitroでのフィダキソマイシンの有効性を評価しました。最小発育阻止濃度(MIC)の検討では、MIC90が0.12μg/mL(0,015-0.25)であり、バンコマイシンの0.5μg/mL、メトロニダゾールの0.5μg/mL(0.12-0.5)、フィダキソマイシンの代謝物であるOP-1118の4μg/mL(0.5-4.0)と比較して良好な結果を示しました。ただし、Clostridium ramosumについてはMICが64μg/mL以上と高値を示しましたので、この菌種については注意する必要があります。

 当教室では栁原教授森永講師賀来助教を中心に、臨床分離株を用いた新薬の基礎検討を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2018年8月21日火曜日

BD MAX C. difficileの性能評価・J Infect Chemother



Morinaga Y, Akamatsu N, et al. Diagnostic utilities of a fully automated molecular test for toxigenic Clostridium difficile. J Infect Chemother. 24: 88-91, 2018.




当教室の森永 芳智 講師のBD MAXシステムによるC. difficileおよび毒素の検出についての論文が日本感染症学会・日本化学療法学会の英文誌であるJournal of Infection and Chemotherapy誌に掲載されました(2018年2月付)。
 BD MAXシステムは全自動遺伝子検査システムの一つで、核酸の抽出・増幅・検出を全自動で行うものです。MRSAを検出する試薬については森永 助教が論文にして発表しています(リンク)。今回は同じシステムを使ってC. difficileおよびtoxinの検出について多施設で検討しました。培養検査法での検出を基準とした場合に、抗原検査法では感度が52.8%と低かったのに対して、BD MAXシステムでは感度が98.1%と良好な結果を示しました。
 C. difficileについては本研究および小佐井助教の報告で示されたように抗原検査の感度が低いことが問題となっており、海外では遺伝子検査も行われています。日本でも栁原 克紀 教授が副委員長を務める日本臨床微生物学会感染症領域新規検査検討委員会が2017年7月に遺伝子検査の運用フローチャートを公表しており、保険適用となれば臨床において遺伝子検査も活用出来るようになります。

 当教室では、栁原 教授森永 講師賀来 助教の指導のもと、感染症遺伝子検査についての基礎検討および臨床研究を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2018年8月14日火曜日

キノロン耐性肺炎球菌に対するラスクフロキサシンの効果・Antimicrob Agents Chemother



Murata M, Kosai K, et al. In vitro activity of lascufloxacin against Streptococcus pneumoniae with mutations in the quinolone resistance-determining regions (QRDR). Antimicrob Agents Chemother.





 当検査部の微生物検査室所属で大学院生でもある村田 美香 技師の新規キノロン系抗菌薬であるラスクフロキサシンの肺炎球菌に対する有効性についての論文が、アメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)が発行するAntimicrobial Agents and Chemotherapy誌に掲載されました(2018年2月付)。


菌の耐性化には様々なメカニズムがありますが、キノロン系の抗菌薬に対する耐性化は主に染色体上の遺伝子変異によるものです。呼吸器感染症の重要な原因菌である肺炎球菌では、表面上、キノロン系抗菌薬に対する耐性化はあまり進んでいないと考えられています。しかし、感性と判定された肺炎球菌の中にも遺伝子変異を起こしているものが潜在的に存在しており、これらの菌では抗菌薬の使用による耐性化のリスクが高いため、注意が必要です。この論文では、本邦で創製された新規キノロン系抗菌薬(ラスクフロキサシン)の耐性菌選択性の評価を行いました。既存のキノロン系抗菌薬であるレボフロキサシンやガレノキサシンと比較して、ラスクフロキサシンは耐性菌の出現率が低く、変異の有無が予測できない臨床現場において、肺炎球菌の耐性化抑制に有用であると考えられました。

当教室では栁原教授森永講師賀来助教の指導のもと、臨床分離株を用いた新薬の基礎検討を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2018年8月13日月曜日

ESBL産生肺炎桿菌におけるキノロン耐性・J Med Microbiol

Higashino M, Murata M, et al. Fluoroquinolone resistance in extended-spectrum β-lactamase-producing Klebsiella pneumoniae in a Japanese tertiary hospital: silent shifting to CTX-M-15-producing K. pneumoniae. J Med Mirobiol. 66: 1476-82, 2017.


医学部生の時に当教室で研究をしていた東野 真志 先生と大学院生の村田 美香 技師のESBL産生肺炎桿菌のキノロン耐性についての論文がMicrobiology Societyが発行するJournal of Medical Microbiology誌に掲載されました(2017年10月付)。

 大腸菌や肺炎桿菌におけるESBL産生菌の割合は世界的に増加しています。MRSAや多剤耐性緑膿菌(MDRP)などの従来の薬剤耐性菌は院内で拡散することが多かったですが、ESBL産生菌は入院歴がない患者さんから検出されることもあり、市中で拡散している可能性が指摘されています。ESBL産生菌に有効なβラクタム系抗菌薬はカルバペネム系抗菌薬ぐらいしかありません。タゾバクタム・ピペラシリンも感性であることもありますが、高菌量では有効でないことが報告されています(当教室の論文を参照)。更に、ESBL産生菌ではキノロン耐性菌が多いことも報告されています。

 本研究では、2011年から2013年に長崎大学病院で検出されたESBL産生肺炎桿菌のキノロン耐性について調査しました。調査期間にCTX-M-15型のESBL産生肺炎桿菌が増加していました。レボフロキサシン耐性については、CTX-M-15型が62.5%であったのに対してそれ以外の型では9.1%とCTX-M-15型ではキノロン耐性の割合が有意に高いことが明らかになりました。また、CTX-M-15型とそれ以外の型ではキノロン耐性の保有率に有意な差がありました。本研究から、日本でキノロン耐性を持っていることが多いCTX-M-15型のESBL産生肺炎桿菌が増加していることが明らかとなりました。このような薬剤耐性菌が増加すると抗菌薬の選択肢が少なくなるため、この傾向が持続するのか注意する必要があります。

 当教室では栁原 教授森永 講師賀来 助教の指導のもと、医学部の学生が薬剤耐性菌の基礎検討および臨床研究を行っています。東野先生はこの研究内容について国際学会でも発表を行いました(リンク)。
研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2018年8月10日金曜日

受賞報告(JIC Award 2017&研究助成)

当検査部所属の検査技師と当教室で研究している医学部の学生が受賞したので報告します。

 川元 康嗣 技師がJIC Award 2017を受賞しました。これは日本化学療法学会・日本感染症学会の英文誌であるJournal of Infection and Chemotherapy誌に掲載された論文の中で、特に優れた業績を発表した筆頭著者(原則として毎年1件)に授与されるものです。川元 技師は以前このブログでも紹介した「TNF-αによる気道上皮細胞内でのLegionella pneumophila増殖阻害」についての論文が評価されて受賞しました。


 また、川元技師は日本臨床検査医学会学術推進プロジェクト研究にも「MCR-1遺伝子の保有状況と簡易スクリーニング法の開発」という課題で採択されました。こちらの研究は今回の助成を受けて行います。川元技師の今後の活躍にも期待したいです。


 当教室では、これからも検査技師の研究および学術活動を積極的に支援していきます。
 これまでの受賞報告は→こちら


2018年2月26日月曜日

HLA-DPのSNPsとB型肝炎ウイルスワクチンの効果・Vaccine



Okada Y, Uno N, et al. Strong influence of human leukocyte antigen-DP variants on response to hepatitis B vaccine in a Japanese population. Vaccine. 35: 5662-5665, 2017.





  当教室の大学院生である岡田 侑也 技師のHLA-DPのSNPsとB型肝炎ウイルスワクチンの効果についての論文が、Edward Jenner Vaccine Societyと日本ワクチン学会の英文誌であるVaccine誌に掲載されました(2017年10月9日付)。

  これまでHLAの変異が慢性B型肝炎に関連しているという報告がありました。そこで、今回は慢性B型肝炎感染症のリスク因子と報告されているHLA-DPとHLA-DQのSNPsがB型肝炎ウイルスワクチンに対する反応と関連しているのかを調査しています。肝炎ウイルスワクチン接種1ヶ月後のHBs抗体価を調査したところ、HLA-DPのrs9277535とrs3077が抗体価と有意に関連していることが明らかとなりました。一方でHLA-DRについてはそのような関連は認められませんでした。これらのことから、B型肝炎ウイルスワクチンに対する反応性においてHLA-DPのSNPsが重要であることが示唆されました。

 当教室では、宇野 直輝 助教を中心に遺伝子解析技術を活用した臨床研究を行っています。
 これまでに当ブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク  

2018年2月23日金曜日

Verigene C. difficileの性能評価・J Infect Chemother




Kosai K, Iwanaga Y, et al. Performance evaluation of the Verigene® Clostridium difficile nucleic acid test, an automated multiplex molecular testing system for detection of C. difficile toxin. J Infect Chemother. 23: 674-7, 2017.




 当教室の小佐井 康介 助教のVerigeneシステムによるC. difficile検出についての論文が日本感染症学会・日本化学療法学会の英文誌であるJournal of Infection and Chemotherapy誌に掲載されました(2017年10月23日付)。
 Verigeneシステムは全自動遺伝子検査システムの一つで、核酸の抽出・増幅・検出を全自動で行うものです。血流感染症の試薬については宇野 直輝 助教が論文にして発表しています(リンク)。血流感染症の試薬は現在保険適用となっており日常臨床で使用することができます。今回は同じシステムを使ってC. difficileの検出について検討しました。培養検査法での検出を基準とした場合に、2種類の抗原検査法ではそれぞれ感度が45.5%と27.3%と低かったのに対して、Verigeneシステムでは感度が93.9%と良好な結果を示しました。
 C. difficileについては本研究で示されたように抗原検査の感度が低いことが問題となっており、海外では遺伝子検査も行われています。日本でも栁原 克紀 教授が副委員長を務める日本臨床微生物学会感染症領域新規検査検討委員会が2017年7月に遺伝子検査の運用フローチャートを公表しており、保険適用となれば臨床において遺伝子検査も活用出来るようになります。

 当教室では、栁原教授森永助教小佐井助教賀来助教の指導のもと、感染症遺伝子検査についての基礎検討および臨床研究を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2017年10月17日火曜日

テディゾリドの免疫調節作用 (MUC5AC)・J Infect Chemother


Takeda K, Kaku N, et al. Tedizolid inhibits MUC5AC production induced by methicillin-resistant Staphylococcus aureus in human airway epithelial cells.





 当教室で研究をしていた武田 和明 先生の「テディゾリドの免疫調節作用」についての研究が、原著論文として日本感染症学会・日本化学療法学会の英文誌であるJournal of Infection and Chemotherapy誌に掲載されました(2017年9月付)。

 本研究では、気道で分泌されるムチンの一つであるMUC5ACに着目して研究を行いました。当教室では、以前から気道上皮細胞株を用いたMUC5ACの基礎研究をしており、これまでにも多くの研究成果を発表しています(これまでの研究成果)。今回は、オキサゾリジノン系抗菌薬の新薬であるテディゾリドがMUC5ACの過剰分泌を抑制できるか気道上皮細胞株を用いて検討し、抑制効果があることを示しました。テディゾリドについては、賀来 敬仁 助教もマウスモデルを用いた検討でその抗菌作用および免疫調節作用を報告していますが、今回の研究の結果からテディゾリドが宿主の細胞に直接働いて免疫調節作用が分かりました。

 当教室では、医師および臨床検査技師の大学院生が、栁原教授森永助教小佐井助教賀来助教の指導のもと、免疫調節作用をはじめとした抗菌薬の新作用についての研究を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2017年10月16日月曜日

緑膿菌耐性獲得のリスク因子・Open Microbiol J



Kosai K, Kaku N, et al. Risk factors for acquisition of fluoroquinolone or aminoglycoside resistance in addition to carbapenem resistance in Pseudomonas aeruginosa. Open Microbiol J. 11: 92-97, 2017.





  当教室の小佐井 康介 助教の緑膿菌が薬剤耐性を獲得するリスク因子についての研究がThe Open Microbiology Journalに掲載されました(2017年5月31日付)。

 緑膿菌の治療においてカルバペネム系抗菌薬、フルオロキノロン系抗菌薬、アミノグリコシド系抗菌薬は重要な役割を果たしており、その耐性化が進むと治療が難しくなってきます。本研究では、イミペネム耐性緑膿菌に着目して研究を行ったところ、そのうち39.1%がフルオロキノロン系抗菌薬に、7.1%がアミノグリコシド系抗菌薬に耐性を示しました。90日以内のフルオロキノロン系抗菌薬投与された割合がフルオロキノロン系抗菌薬耐性がある群で有意に高く、アミノグリコシド系抗菌薬でも同様の傾向でした。また、メタロβラクタマーゼ産生菌株の割合がフルオロキノロン系抗菌薬・アミノグリコシド系抗菌薬に耐性の群で高い傾向にありました。

 当教室では、菌株などの情報を基にした疫学研究についても、栁原教授森永助教小佐井助教賀来助教を中心として積極的に行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2017年9月15日金曜日

三学会合同サーベイランス(呼吸器感染症2012)・J Infect Chemother


Yanagihara K, Watanabe A, et al. Nationwide surveillance of bacterial respiratory pathogens conducted by the surveillance committee of Japanese Society of Chemotherapy, the Japanese Association for Infectious Diseases, and the Japanese Society for Clinical Microbiology in 2012: General view of the pathogens' antibacterial susceptibilityJ Infect Chemother. 23 (9):587-597, 2017. (リンク


 日本化学療法学会、日本感染症学会、日本臨床微生物学会の三学会合同抗菌薬感受性サーベイランスが行われていますが、そのなかの一つに呼吸器感染症のサーベイランスがあり、当教室の栁原 克紀 教授も調整委員として重要な役割を担っています。

 今回、2012年に行われた呼吸器感染症サーベイランスの結果が、原著論文として日本感染症学会・日本化学療法学会の英文誌であるJournal of Infection and Chemotherapy誌に掲載されました(2017年9月付)。この論文では、栁原 教授が責任著者(corresponding author)および筆頭著者、賀来 敬仁 助教が共著者となっています。
 
 2012年の検討では、35の医療施設から合計1236の菌株が収集され、S. aureus(232株)、肺炎球菌(225株)、溶連菌(16株)、インフルエンザ菌(231株)、Moraxella catarrhalis(147株)、肺炎桿菌(167株)、緑膿菌(218株)の菌種毎に薬剤感受性試験の結果が解析されています。また、肺炎桿菌におけるESBL産生菌の割合や緑膿菌におけるメタロβラクタマーゼ産生菌の割合についても検討を行っています。本論文と同じく栁原 教授が責任著者(corresponding author)および筆頭著者で森永 芳智 助教が共著者として報告している2010年のサーベイランス結果(リンク)と比較して、薬剤耐性菌の割合に大きな変化はありませんでしたが、今後もこのようなサーベイランスを継続して行っていくことが重要であると考えられます。

 当教室には、感染症および呼吸器を専門とする医師が所属しています。今後も、栁原 教授を中心に、微生物検査室および感染症関連の教官(森永 助教小佐井 助教賀来 助教)も全国的なサーベイランスに貢献していきます。

 これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2017年9月5日火曜日

Elecsys HTLV-I/II・J Clin Microbiol(original article)




Laperche S, Sauleda S et al. Evaluation of sensitivity and specificity performance of Elecsys HTLV-I/II assay in a multicenter study in Europe and JapanJ Clin Microbil 55 (7): 2180-7, 2017.






 当教室の栁原 克紀 教授および宇野 直輝 助教が共著者となっているHTLV-I/IIの新規検査試薬についての論文が、アメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)が発行するJournal of Clinical Microbiology誌に掲載されました(2017年7月付)。

 本研究では、全自動免疫測定装置の専用試薬として新たに開発されたHTLV-1/2抗体測定試薬についての検討を行いました。検討した試薬は、電気化学発光免疫測定法を測定原理とするダブル抗原サンドイッチ法を用いた第3世代の試薬です。本研究では、オーストリア、フランス、ドイツ、日本、ポルトガル、スペインの6カ国7施設(ドイツのみ2施設)の多施設共同研究として行われ、既存の方法と比較しても、感度・特異度ともに良好な結果でした。

 当教室では、基礎的な研究だけでなく、多数の臨床研究を行っています。今回のような国際的な多施設共同研究も積極的に行っていきたいと考えています。


これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2017年9月4日月曜日

新規βラクタマーゼ阻害薬(OP0595)・Antimicrob Agents Chemother(original article)






Kaku N, Kosai K, et al. Efficacy and pharmacokinetics of OP0595 and cefepime in amouse model of pneumonia caused by extended-spectrum-beta-lactamase-producing Klebsiella pneumoniae. Antimicrob Agents Chemother. 61 (7): e00828-17, 2017.






 当教室の賀来 敬仁 助教の新規βラクタマーゼ阻害薬についての論文が、アメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)が発行するAntimicrobial Agents and Chemotherapy誌に掲載されました(2017年6月28日付)。

 ESBL産生菌は、我が国でも大腸菌や今回の検討で使用した肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)で増加傾向にあります。院内感染だけでなく、市中においても拡大が懸念されている薬剤耐性菌です。ESBLの治療には、タゾバクタム・ピペラシリンやカルバペネム系抗菌薬が使用されますが、当教室の以前の検討では菌量が多い状況ではタゾバクタム・ピペラシリンの有効性が認められなくなるinoculum effectが確認されています(Harada Y, Morinaga Y, et al. Clin Microbiol Infect)。そのため、治療の選択肢としてカルバペネム系抗菌薬しかない状況もあります。しかし、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の出現が問題となっているため、他に使用可能な新薬の登場が待たれています。

 今回の研究で使用したOP0595は、日本のMeiji Seikaファルマが開発した新規βラクタマーゼ阻害薬で、これまでに実験株および臨床分離株を用いた検討で、セフェピムを始めとする種々の抗菌薬との組み合わせでESBL産生菌などの薬剤耐性菌に対して有効性を示してきた薬剤です。本研究では、inoculum effectを確認したESBL産生K. pneumoniaeによる肺炎マウスモデルに対するOP0595とセフェピムの併用療法の有効性と体内動態を確認しました。検討の結果、OP0595単剤、セフェピム単剤では死亡率、肺内生菌数ともに改善を認めませんでしたが、OP0595とセフェピムを併用することで、死亡率、肺内生菌数がともに有意に改善しました。今後、新薬としてOP0595が出てくれば、ESBL産生菌にに対する治療の新たな選択肢となる可能性があります。

 当教室では、医師および臨床検査技師の大学院生が、栁原教授森永助教小佐井助教賀来助教の指導のもと、感染症マウスモデルを用いた抗菌薬の研究を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2017年4月3日月曜日

アルベカシン吸入薬(ME1100)・J Antimicrob Chemother(original article)


Kaku N, Morinaga Y, et al. Efficacy and pharmacokinetics of ME1100, a novel optimized formulation for inhalation, compared with amikacin in a murine model of ventilator-associated pneumonia caused by Pseudomonas aeruginosa. J Antimicrob Chemother. 72 (4): 1123-1128, 2017.



 当教室の賀来 敬仁 助教のアルベカシン吸入薬(ME1100)の緑膿菌人工呼吸器関連肺炎(VAP)マウスモデルにおける効果についての論文が、英国抗微生物化学療法学会(British Society for Antimicrobial Chemotherapy)の機関紙であるJournal of Antimicrobial Chemotherapy誌に掲載されました(2017年4月付)。

 抗菌薬の吸入療法は、緑膿菌による慢性気道感染症での有効性が認められていますが、近年肺炎などの急性期呼吸器感染症での使用を目的とした薬剤の開発が行われていて、アミカシンの吸入薬は第III相臨床試験が行われています。本研究では、当教室で以前から研究しているVAPマウスモデルを用いて、専用噴霧器を用いたアルベカシンの吸入薬(ME1100)の吸入療法が有効であるか検討しました。その結果、ME1100は緑膿菌によるVAPにおいて、単剤で有効性を示しました。また、同じアミノグリコシド系抗菌薬であるアミカシンとの比較を行ったところ、同じ用量ではME1100のほうが優れた効果を示しました。アルベカシンはVAPの主要な原因菌であるMRSAと緑膿菌のどちらにも抗菌活性を示すことから、VAPのempirical therapyなどで効果が期待されます。

 当教室では、医師および臨床検査技師の大学院生が、栁原教授小佐井助教賀来助教の指導のもと、感染症マウスモデルを用いた抗菌薬の研究を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

これまでにブログで紹介した論文一覧はこちら→リンク

2017年3月28日火曜日

血液培養検査推進キャンペーン・環境感染誌(原著論文)

塚本千絵、小佐井康介、志岐直美、寺坂陽子、今村政信、賀来敬仁、田代将人、塚本美鈴、栗原慎太郎、泉川公一、迎寛、栁原克紀. 当院における血液培養検査推進キャンペーンとその効果. 環境感染誌. 31 (4): 241-246, 2016


 当検査部の生理機能検査室所属の塚本 千絵 技師がICT活動を行っていたときの検討が、日本環境感染学会の学会誌である日本環境感染学会誌に原著論文として掲載されています。

 本検討では、当院で行った「適切な血液培養検査の推進キャンペーン」とその効果について評価をしました。キャンペンの結果、2009年と2014年を比較すると、血液培養の提出セット数は3,168から4,920に増加し、複数セット採取率は、入院/外来の30.6%/43.0%から73.3%/85.7%まで増加しました。一方でコンタミネーション率は3.5%から2%後半まで低下しています。
 本検討から、複数の推進活動を組み合わせて継続的に実施することで、現場の医療従事者に適切な血液培養検査の考え方が浸透することがわかりました。なお、セット数および複数セット採取率は、2015年以降も増加しています。

 これまでに紹介した論文は→リンク