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2018年9月10日月曜日

腸内細菌科細菌におけるplasmid媒介性AmpC・Jpn J Infect Dis


Nishimura F, Morinaga Y, et al. Plasmid-mediated AmpC β-lacatamase and underestimation of extended-spectrum β-lactamase in cefepime-susceptible elevated-ceftazidime-MIC Enterobacteriaceae isolates. Jpn J Infect DIs. 71 (4): 281-5, 2018.


 当教室の大学院生(2018年〜月学位取得)であった生化学検査室の西村主任の〜についての論文が国立感染症研究所が発行する英文誌Japanese Journal of Infectious DIseases (JJID)に原著論文として掲載されました(2018年6月24日付)。


基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamaseESBL)やプラスミド媒介性AmpC β-lactamase (plasmid-mediated AmpC β-lactamasepAmpC)を保有する腸内細菌科細菌が、世界的に広がっています。pAmpCの存在、特にESBLと同時に保有している際に薬剤耐性菌の同定を複雑にしており、pAmpCESBL表現型の検出を干渉する可能性があります。そこで、本研究ではESBL産生菌の可能性があるセフタジジムの最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentrationMIC)pAmpCが加水分解できないセフェピムのMICに着目し、ESBL単独、pAmpC単独、ESBLpAmpCを保有する可能性のある株およびESBL表現型の検出に与えるpAmpCの影響を調査しました。その結果セフェピム感性セフタジジムMIC上昇の株におけるpAmpC保有率は27.5%と高率で、この集団でpAmpC保有株を効率的に検出できたと推測されます。また、pAmpC保有株ではESBL遺伝子を保有しているにも関わらず、表現型ではESBLと判定されていない株が有意に多く認められました。これらのことから、pAmpCがESBL表現型の判定に影響を与えている可能性が示唆されました。

 当教室では、栁原 教授森永 講師賀来 助教の指導のもと、微生物の分子疫学的解析をを行っています。臨床検査技師の大学院生も多く所属し、研究を行っています。また、研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

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