当検査部の生化学検査室所属の臼井主任の新規免疫自動分析装置によるTSH、FT4、FT3測定試薬の基礎的検討が、一般社団法人日本臨床衛生検査技師会の機関紙である医学検査に技術論文として掲載されました(2018年7月付)。
患者への速やかな治療の開始などの観点から診療前検査が普及しています。今回、検体の採取から結果報告までの迅速化の可能性を検討するために、測定時間が10分という自動化学発光酵素免疫分析装置Accuraseedを用いてTSH、FT4、FT3の基礎的検討を行いました。また本装置とルーチン法のモジュラーおよびARCHITECT、ルミパルスの3機種の装置を用いて迅速性に関する比較検討を行ったので報告する。甲状腺3項目の基礎的検討として、再現性(同時、日差)、相関性、最少検出感度、直線性、共存物質の影響について検討を行った。その結果、ルーチン法との相関性において回帰式傾き(本法が低め傾向)および乖離検体(1例)が認められたが、それ以外の同時再現性、最少検出感度等他の検討の全てにおいて、良好な結果が得られた。なおFT3において発生した乖離検体1例についてはPEG処理による測定値挙動から異好性抗体の影響を本法が受けている可能性が考えられた。また迅速性の検討において、結果報告時間は、本装置では15分で、モジュラー、ARCHITECTおよびルミパルスは各々27分、33分、37分となり、本装置を用いることでTATの短縮化の可能性が示唆された。
当検査部では、基礎研究だけでなく、検査に関連した臨床研究も積極的に行っています。
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