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2016年9月25日日曜日

HBI-8000 in ATL・Cancer Sci (original article)


Hasegawa H, Bissonnette RP, et al. Induction of apoptosis by HBI-8000 in adult T-cell leukemia/lymphoma is associated with activation of Bim and NLRP3. Cancer Sci. 107: 1124-33, 2016.(リンク)



 当教室の長谷川寛雄講師のATLにおけるHBI-8000の効果についての論文が日本癌学会の英文誌であるCancer Science誌に原著論文として掲載されました。HBI-8000は新規の経口ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤で、日本では末梢性T細胞リンパ腫の治療にかかる希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けています(リンク先参照)。現在、悪性リンパ腫を対象とした第2相臨床試験が検討されています。

 本研究では、ATL由来細胞株およびATL患者検体におけるChidamideの効果を評価しました。Chidamideは、ATL由来細胞株およびATL患者検体において腫瘍増殖抑制効果を示し、両細胞にアポトーシスを誘導しました。そのメカニズムとしては、免疫応答や細胞の生存など多彩な生命現象に関与しているNFκBの阻害作用が示唆され、自然免疫系の重要な構成要素であるNLRP3の関与するインフラマソーム経路の活性化がATL細胞死に寄与している知見が得られました。Chidamide によるNLRP3活性化は、がんの新たな治療戦略の一部として大変興味深い現象と思われます。


 当教室では、長谷川寛雄講師を中心に、ATLなどの血液疾患の診断、治療についての基礎研究及び臨床研究を積極的に行っています。研究内容に興味のある方がいらっしゃったら、お問い合わせください
 
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