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2017年9月4日月曜日

新規βラクタマーゼ阻害薬(OP0595)・Antimicrob Agents Chemother(original article)






Kaku N, Kosai K, et al. Efficacy and pharmacokinetics of OP0595 and cefepime in amouse model of pneumonia caused by extended-spectrum-beta-lactamase-producing Klebsiella pneumoniae. Antimicrob Agents Chemother. 61 (7): e00828-17, 2017.






 当教室の賀来 敬仁 助教の新規βラクタマーゼ阻害薬についての論文が、アメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)が発行するAntimicrobial Agents and Chemotherapy誌に掲載されました(2017年6月28日付)。

 ESBL産生菌は、我が国でも大腸菌や今回の検討で使用した肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)で増加傾向にあります。院内感染だけでなく、市中においても拡大が懸念されている薬剤耐性菌です。ESBLの治療には、タゾバクタム・ピペラシリンやカルバペネム系抗菌薬が使用されますが、当教室の以前の検討では菌量が多い状況ではタゾバクタム・ピペラシリンの有効性が認められなくなるinoculum effectが確認されています(Harada Y, Morinaga Y, et al. Clin Microbiol Infect)。そのため、治療の選択肢としてカルバペネム系抗菌薬しかない状況もあります。しかし、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)の出現が問題となっているため、他に使用可能な新薬の登場が待たれています。

 今回の研究で使用したOP0595は、日本のMeiji Seikaファルマが開発した新規βラクタマーゼ阻害薬で、これまでに実験株および臨床分離株を用いた検討で、セフェピムを始めとする種々の抗菌薬との組み合わせでESBL産生菌などの薬剤耐性菌に対して有効性を示してきた薬剤です。本研究では、inoculum effectを確認したESBL産生K. pneumoniaeによる肺炎マウスモデルに対するOP0595とセフェピムの併用療法の有効性と体内動態を確認しました。検討の結果、OP0595単剤、セフェピム単剤では死亡率、肺内生菌数ともに改善を認めませんでしたが、OP0595とセフェピムを併用することで、死亡率、肺内生菌数がともに有意に改善しました。今後、新薬としてOP0595が出てくれば、ESBL産生菌にに対する治療の新たな選択肢となる可能性があります。

 当教室では、医師および臨床検査技師の大学院生が、栁原教授森永助教小佐井助教賀来助教の指導のもと、感染症マウスモデルを用いた抗菌薬の研究を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

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