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2018年8月28日火曜日

パンヌスが原因であった大動脈弁位人工弁機能不全の2症例・超音波検査技術




古島 早苗、尾長谷 喜久子, et al. パンヌスが原因であった大動脈弁位人工弁機能不全の2症例. 超音波検査技術. 43 (3): 274-80, 2018.


 当検査部の生理機能検査室所属の古島 早苗 技師の人工弁機能不全症についての症例報告が一般社団法人日本超音波検査学会の機関紙である超音波検査技術に症例報告として掲載されました(2018年6月付け)。

人工弁置換術後症例では,異物である人工弁が体内にあることによって種々の反応が起こります。今回の症例であるパンヌスもその一つです。パンヌスとは人工弁の周辺から発育する線維性の自己組織のことで、過剰増殖が起こると人工弁の開閉障害や,弁直下に張り出すことによって狭窄を引き起こすことがあります。しかし人工弁置換術後の心エコー図検査では、アーチファクトにより弁周囲の描出が困難である症例が非常に多く存在します。本論文の2症例はどちらも術前にパンヌスを疑うようなエコー像は描出できませんでしたが、種々のドプラ心エコー図所見からパンヌスを強く疑ったことで、精査、手術をするに至った症例です。ドプラ所見の急激な変化や経年的増悪があれば、人工弁機能不全を疑うことが重要であると考えられました。

 古島技師は先日も記事にしたように学会賞も受賞しています(リンク)ので、今後も活躍してくれると思います。

 当検査部では、基礎研究だけでなく他科とも協力して様々な臨床研究を行っています。
 これまでに紹介した論文は→リンク