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2018年8月14日火曜日

キノロン耐性肺炎球菌に対するラスクフロキサシンの効果・Antimicrob Agents Chemother



Murata M, Kosai K, et al. In vitro activity of lascufloxacin against Streptococcus pneumoniae with mutations in the quinolone resistance-determining regions (QRDR). Antimicrob Agents Chemother.





 当検査部の微生物検査室所属で大学院生でもある村田 美香 技師の新規キノロン系抗菌薬であるラスクフロキサシンの肺炎球菌に対する有効性についての論文が、アメリカ微生物学会(American Society for Microbiology)が発行するAntimicrobial Agents and Chemotherapy誌に掲載されました(2018年2月付)。


菌の耐性化には様々なメカニズムがありますが、キノロン系の抗菌薬に対する耐性化は主に染色体上の遺伝子変異によるものです。呼吸器感染症の重要な原因菌である肺炎球菌では、表面上、キノロン系抗菌薬に対する耐性化はあまり進んでいないと考えられています。しかし、感性と判定された肺炎球菌の中にも遺伝子変異を起こしているものが潜在的に存在しており、これらの菌では抗菌薬の使用による耐性化のリスクが高いため、注意が必要です。この論文では、本邦で創製された新規キノロン系抗菌薬(ラスクフロキサシン)の耐性菌選択性の評価を行いました。既存のキノロン系抗菌薬であるレボフロキサシンやガレノキサシンと比較して、ラスクフロキサシンは耐性菌の出現率が低く、変異の有無が予測できない臨床現場において、肺炎球菌の耐性化抑制に有用であると考えられました。

当教室では栁原教授森永講師賀来助教の指導のもと、臨床分離株を用いた新薬の基礎検討を行っています。研究に興味のある方は、いつでもお問い合わせください

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